令和10年4月。滋賀に新たな可能性が広がります。
全国有数の内陸工業県でありながら、高等専門学校が存在していない本県。
この滋賀の地に、初めて、県立で、これからの時代に求められる新たな高等専門学校を創るべく、現在、準備を進めています。
野洲川のほとり。
霊験あらたかな「近江富士」三上山が見下ろす旧野洲川北流の緑あふれるこの地に、最新の設備や機器を備えた、真新しい校舎をつくります。
隣接する国有地に、河川防災ステーションが整備されることもあり、天井川であった野洲川の洪水被害と対峙してきた先人の努力の歴史を紡ぐ「防災」の観点、加えて、周辺に残る森林や水辺環境を活かして“根源の森”ともいうべき空間を構成し、自然と共生していく「環境保全」の観点を埋め込みながら、地域に溶け込み、地域から誇りと愛着を持たれるキャンパスを整備します。
こうした環境のもと開校する滋賀県立高等専門学校では、以下のことを目指します。
まずは子どもたちへ。
皆さんが中学校を卒業し、進路を選択する15歳時点で、新たな学びの選択肢を提供し、その後の人生の可能性を大きく広げます。最新の情報技術教育をベースとしつつ、学年・コースを交えたPBLをカリキュラムの中心に据え、地元の企業や学術機関等の参画を得て「滋賀」そのものをフィールドとして、また、高等専門学校ならではのコンテストを題材として、課題解決を行う実践的な教育を展開することにより、専門性と実践力を兼ね備え、様々な人と協働して、新たな価値を創造できる力を育みます。
高度な技術力と実践力を身に付けて、新しい道を歩んでいきましょう!
そして、保護者の皆様と県内の小・中学校教員の皆様へ。
まずは、この新しい学校が滋賀に誕生することを知って、是非とも子どもたちに紹介してあげてほしい。そして、興味や関心を示した子どもたちが新たな一歩を踏み出せるよう、背中を押してもらいたいと思います。
次に、産業界、地域の皆様へ。
滋賀県立高等専門学校は、技術者の育成・交流のハブとして地域産業・社会に貢献していきます。
「価値創造力と専門性、実践力を兼ね備え、協働して挑む高度専門人材」の輩出はもちろんのこと、教職員、学生とともに、地域に密着して、共同研究やPBLなど様々な課題解決に向けた取り組みを通じて、最新の知見や情報の取得・共有に加えて、企業活動、地域活動そのものをアップデートする機会も提供していきます。
最後に、この新しい学校の実現に向け、仲間として共に汗をかくこととなる教職員の方々へ。
我々は、「学生第一」の合言葉のもと、教員、職員の垣根なく、一体となって学校運営を行います。
開校に向けて、今後、教員を募集していくこととなります。学生の成長を第一に、変化への柔軟性と、教育およびそれを支える研究への意欲・熱意溢れる方を心からお待ちしています。
私は、この新しい学校が、子どもたちの将来に開かれた道となり、産業競争力向上の萌芽となり、わが国、社会の持続的発展への光となることを信じてやみません。
「循環」「共創」「挑戦」。
この3つをキーワードとして、未来に向けて、一体となって新たな一歩を踏み出していきましょう!
滋賀県知事
科学技術は、人工知能(AI)、ロボット、ナノデバイス、防災インフラなどのように、人間社会を安全で豊かにするために欠かせないものを産み出し、常に進化を続けています。
エンジニアは技術を活用し、新たな世界を創出してゆく中核となる人々であり、科学的知識「知」とそれに基づく合理的行動「行」を両輪とする「知行合一」が必要です。
県立高専は、次代を支えるエンジニアを養成するとともに、人生を豊かで幸福なものとするために、どのような世の中になっても、どのような新たな課題が出てきても、自信をもって立ち向かえる、しなやかでたくましい知行合一の人材の育成を目指しています。
キャンパスを構える野洲市は、企業、研究所、大学が集積しており、エンジニア養成の地として大変恵まれています。こうした環境を活かし、最先端の機器・設備に触れる機会を設けるなど、企業や大学と連携・共創し、学生の“ホンモノへの感動”が、エンジニアとしての基盤となるような協働技術教育「協育」を実現します。
さらに、キャンパスは琵琶湖や野洲川など自然豊かな場所に位置します。自然と調和した人間社会を作り出すことは重要な未来課題です。優れた自然環境に触れつつ、技術の社会実装に挑戦する学びの場を提供することで、未来課題の解決に貢献できる人材の育成を目指します。
エンジニア人生の基盤となる教育の実現に向けて、教職員一丸となって努力してまいりますので、皆様のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。